パナソニックシーリングライト HH‐LC714A

インテリアにこだわるほうだが、照明は大事だ。照明器具の、部屋に占める体積の割合は少ない。しかし、夜は照明の明かりがないと家の中では生活できないわけで、照明がどのように屋内を照らすかは、インテリアの印象を大きく変える。
実家にいた頃は、親が家中にとりつけたペンダントライトやシーリングライトの、真っ白な蛍光灯の明かりの下で過ごしていた。大学二年頃から、自室の蛍光管を、電球色の蛍光管に変えた。すると白熱灯の暖かみを感じるようで、電球色蛍光灯のもとで本を読んだり小説を書いたりした。大学四年時、半年間だけ小岩で一人暮らしをした時は、三〇ワットもの電気を消費するハロゲン球が五個ついているシーリングファンライトで、小さい光源から広がる陰影のつきやすい明かりを楽しんでいた。IKEAで買った、電球型蛍光灯の光源を覆う形の安いシャンデリアも使った。だがそれらは、消費電力がやたらと高かったり、デスクワークをするには暗かったりという理由で、すぐに使わなくなった。
就職した会社を辞め、中古マンションを買い専業作家になってからは、電球色型蛍光灯の明かりで生活していた。だが二年ほど前から、長時間読書をしている時なんかに、目の疲れを感じ始めた。買った時より暗くなっていたのだと思う。だが、それだけが理由ではない気がした。たとえば新潮社の上質なハードカバー本や、出版社問わず古びた本なんかは、紙色が黄色がかっている。日中は問題なく読めていた本でも、夜、電球色蛍光灯のもとで読むと、黄色がかった紙が電球色を帯びた明かりで照らされるから、黒い文字とのコントラストがはっきりしなくなって、読みにくくなっているのではないか。
そう疑問に思った去年の春、世間では普及し久しかったLED照明を、探してみた。パナソニック製のHH‐LC714Aに惹かれた。白っぽい明かりから赤っぽい光への調色はもちろん、調光機能も備えている。そこまでは他社製品でもよくあるが、本製品には、三つのボール型光源から照射される、スポットライト機能が附随していたのだ。
用途を考えると、いくらでも夢想できた。執筆机兼食卓であるテーブルの上に置けば、自炊した料理をスポットライトだけでお洒落に照らせる。気分転換したければ暗くした部屋の中、スポットライトの明かりで机だけを照らし、お洒落な雰囲気の中で執筆や読書ができる。等々考え、芥川賞受賞してしばらく経った去年一一月、約五万円ものけっこういい価格だった本製品を買った。
買ってから半年以上経つが、最も白っぽい明かりに設定される「勉強」モードの最大輝度ばかりをもっぱら使っている。本を読むときもパソコンを扱うときも、とにかく文字が見やすく目が疲れないからだ。忙しい日々、部屋の中で物を探したりする時も、白い明かりの下が一番見やすい。料理を食べるときも、自然な感じに見える。照明に関し紆余曲折し結局、約五万円も払って、なんのセンスもなかった実家の蛍光灯に戻った感は、否めない。

初出:「DIME」小学館 2016年

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