Apple iPad pro

二〇一一年のはじめ頃、ipod touchを買い、音楽再生用に使っていた。podcastで配信される番組なんかも聞け、自宅のWi-Fiに接続すればパソコンを起動させずともブラウザメールが確認できる、魔法の道具だった。しかし、iPhoneは買わず頑なにガラケーとipod touchの二台持ちを突き通した。スマートフォンだと通信費が高い。その後、二〇一四年に格安ケータイプランに加入しアンドロイドフォンを買ったことで、ipod touchの役目は終えられた。その頃には、ホームボタンが使えないなど不具合もあった。
その後、アンドロイドフォンは約一年数ヶ月置きに壊れていった。起動画面から先にいかない、という故障の仕方が続く。うんざりしそれらを捨てたが、なぜだかipod touchは手元にあった。五年以上前に買ったもので壊れて性能も低いはずなのに、ひとたび起動させれば、あまり古さを感じさせない。アンドロイドやウィンドウズと異なり、ハードとOSを統合的に作っているメーカー特有の、操作性の滑らかさがいいのだろう。スマートフォンをどうするかは別にして、二〇一六年末頃に、iPad pro9.7インチを買ってみた。
久々に買ったアップル製品は素晴らしかった。ダウンロードした映画を、移動の新幹線の中で見まくった。新幹線車内は、グリーン車でも細かい振動はそれなりにあり、本を読むのには向いていない。iPad proをテーブルの上に置き、イヤフォンをして見る、という過ごし方がベストだった。東京~新大阪間だと約二時間半かかるが、長めの映画一本をじっくり見てもいいし、九〇分くらいのアクション映画に海外ドラマ一話分、という組み合わせでもいける。
最近は電子書籍定額読み放題サービスにも加入しており、文芸書なんかを読むことはないが、雑誌はiPad proで読みまくっている。雑誌を読むには九.七インチの画面は小さくて目が疲れるため、新たに一二.九インチモデルを買った。以前店で同サイズのモデルを見たときは、「こんなデカいの、誰が使うんだよ」と思ったが、いざ使ってみると九.七インチには戻れない。雑誌を見るのにこの画面サイズは不可欠だし、映像作品だって見やすい。この手の製品は、携帯性よりも、実際に使っている際の利便性を考えて選んだほうがいい。小さくてオシャレな鞄を持ちたがる女性たちにとっては九.七インチもいいだろうが、男の鞄はだいたいデカいのだから、男は全員一二.九インチモデルを買ったほうがいい。PDFに書き込んだりできるペンシルも買ったはいいが、それで外出先からゲラへの赤入れ等をすることはなく、もっぱら遊んでばかりだ。

初出:「DIME」小学館 2017年

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