ジプロダクト GEO‐18片手鍋

昔から自炊をしている。会社員になったばかりの頃は、実家から社宅に引っ越す際、母親が近くのホームセンターで買ってきてくれたテフロン加工のフライパンや鍋をそのまま使っていた。やがて一人暮らしをし、テフロン加工が摩耗するたび、それらを少しずつ、自分好みのものに買い換えた。
実家で、母が捨てようとしていた圧力鍋と寸胴鍋は重宝していた。それら二つを駆使し、カレー五〇人前を作ったりした。そんな状態が一〇年近く続いていた。ところが二〇一六年に入って、調理器具にこだわるようになる。そのきっかけを作ったのは、まぎれもない本誌「DIME」だった。
付録冊子で、ロッジ製の鉄の鍋が紹介されていた。それにひかれてサービングポットという蓋付きの鉄鍋を買い、鶏肉やタマネギ、ニンジン等を適当に入れ火にかけただけで、おいしいポトフもどきができた。良い調理器具は、食材のうまみを勝手に引き出してくれる。それを知った自分は他にも色々な調理器具を買った。その中でのお気に入りが、宮崎製作所「ジプロダクトGEO‐18片手鍋」である。
いってみれば、底面が直径一八センチ径のステンレス鍋なのだが、それまで家に置いてあった同サイズのステンレス鍋と、質が違う。日本で安物を買うとガラスの蓋がついている場合が多いが、ジオプロダクトには縁の薄いステンレス製の蓋がついている。中に水や具材を入れ茹でると、ウォーターシール効果によって蓋が鍋本体にすいつく。そのため熱が逃げにくいのか、水を沸騰させるのも従来の鍋より短時間で済む。圧力鍋も熱効率はいいが、その体積のため、沸騰するまでは時間がかかったりする。手軽に扱える鍋で熱効率が良いというのは、普段使いにおいて評価すべきところだ。
なんといっても、見た目が素晴らしい。ステンレス、アルミ、ステンレスの三層構造になっているからか、全体的に肉厚で頑丈な感じで、それでいてデザインに無駄なところが一切ない。丸みを帯びた光沢の質感は、台所の雰囲気を変えてくれる。ただブロッコリーを茹でるだけでも、鍋の中で緑色が鮮やかに映える。難点は、他の鍋がみすぼらしく見えてしまうことだ。他の鍋やアルミフライパンも、ジオプロダクト製に替えてしまいたい。ろくな料理も作らないくせに、台所に置く道具にだけはこだわる。

初出:「DIME」小学館 2017年

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