タニタ体組成計 RDー903BK

体脂肪計とのつきあいは結構長い。二〇〇〇年、自分が男子校の中学三年生だった頃、テレビの健康番組なんかでも体重ではなく体脂肪率を重視せよという風潮が普及してきていた。一五歳の自分の誕生日プレゼントとして、両親からオムロンだかタニタだかの体脂肪計を買ってもらった。体脂肪率など〇.五パーセント刻みでしか計れない大雑把なものだったが、毎日朝食前に計測しては、体重と体脂肪率を手書きでグラフに記入していった。当時はランニングや自転車等、アスリート的なものに凝っていたから、自分の身体に関しての客観的な数値というものに、新しいおもちゃのごとく熱中することができた。
大学に入ると生活が乱れ体脂肪率などどうでもよくなり計測しなくなったが、会社員になり一人暮らしを始めたのをきかっけに、体組成計を買った。タニタの、両手と両足の電極で計測するタイプだ。二〇〇八年製のその製品で計ったデータは細かく、絶対的な数値はともかく、相対的な変化を記録するにはかなり役立った。計測値のうち体重と体脂肪率を、スケジュール手帳に毎日記していった。それによると、入社直後はちょっと高めだった体脂肪率も、入社後四ヶ月間のうちに激減してゆく。しかし会社での力の抜き具合も覚えた秋頃から、また上がってゆく。当時は、遅くまで働いた後、車やバイクで閉店間際のスーパーでしなびた半額の天ぷらとそばを買い、午後一一時くらいに社宅で食べ、そのまま寝たりしていた。それでも、滅茶苦茶太ったりはしなかった。
その体脂肪計が壊れた三年くらい前から、しばらく体脂肪は計っていなかった。専業作家になり運動量が減って以降、食事や筋力トレーニングで体重や筋肉の維持に気を遣うようになっていたから、数値は気にしなくなっていた。
しかし二〇一五年の七月に芥川賞をとってから、目に見えて体重が増えだした。忙しさからくるストレスを紛らわすため、テレビ局の楽屋等に置かれている二、三個の弁当を、全部食べるようになったからである。さすがにマズいと思い、新たな体組成計として「タニタRDー903BK」を買った。以前使っていた両手両足式だと計測に三〇秒ほどかかるのがネックだったが、両足式だと所要時間は短く、数値もかなり精確だという。しかもスマートフォンと連動してのテータ管理が楽で、なによりSFっぽいデザインが良い。
数値を把握しさえすれば痩せるというわけではないが、さすがにマズいと思ったときには、痩せられるようになる。二〇一六年の三月、人生初の八〇キロ越えをしてしまったが、雑誌の仕事でやったライザップや最近行った独自のダイエットにより、現在は七五キロ付近の、芥川賞受賞時くらいの体重と筋肉量にまで戻せている。

初出:「DIME」小学館 2017年

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